タンパク質や核酸などの生体高分子と化合物の相互作用解析
様々なレベルの相互作用解析がありますが、簡単なものから紹介します。
1H一次元測定
化合物とターゲットを混合したときに化合物のNMR信号の変化をモニターする方法です。これは一次元NMRを測定するだけなので、短時間で大量の化合物をスクリーニングできます。標準的な条件で、1サンプル数分
STDまたはwaterLOGSY
NMRらしい測定として、STDやwaterLOGSY測定があります。こちらはターゲットや水にRFを照射することで、化合物の相互作用をしている水素のに変化が現れる方法で、結合様式について原子レベルの分解能で調べることができます。こちらも一次元NMR測定が基本ですが、少し感度が劣るので積算を必要とします。標準的な条件で、1サンプル数分から1時間程度
化学シフト摂動法
ターゲットのタンパク質や核酸のNMR信号が帰属できている場合に、化合物を混合することでこれらの信号が変化することを一次元や二次元スペクトルでモニターします。帰属情報がありますので、タンパク質や核酸のどの部位に結合しているのか、より詳細に解析できます。ただし、帰属が必要になりますので、多くの場合で13C/15N同位体標識が必要になります。NMR立体構造解析パイプラインでは、タンパク質の同位体標識からNMR信号解析まで支援しています。信号の帰属情報を得るためには、条件が良い場合で1日から1週間程度のNMR測定時間を要します。帰属情報が得られれば、スクリーニング測定は、1サンプル数十分から1時間程度
複合体立体構造解析
最も難易度が高い方法ですが、NMRで立体構造解析を行うことが可能です。試料はターゲットの生体高分子の帰属を行うため、同位体標識が必要になります。化合物は標識無しで問題ありません。この場合、生体高分子のNMR構造解析のためのNMR測定に1カ月以上必要で、構造解析も相当な時間を要します。難易度は非常に高くなります。X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡と組み合わせた解析が有効です。